2021年04月23日

日本の林業をビジネスとして成立させるために

東京で「儲かる林業」は実現するか――森の管理、木材のブランド化に取り組む若者たちhttps://creators.yahoo.co.jp/gotohidenori/0200101143

yahooニュースでこのような記事を拝見し、私が子供の頃、実家の急傾斜地の雑木林を家族で伐採し檜の苗木を植えていたことを思い出しました。その時は「お前が大人になった時にはこの木を売ったらひと財産出来るからな」と親に言われてました。その森は今は手入れもしないままこの記事にあるような最悪の森になっていることと思います。

日本の山は複雑な地形で急傾斜のため、切り出して商品化するにはかなりのコストがかかり、平坦な森から機械化で容易に切り出せるカナダ材などとの価格競争に勝てません。以前青森の森の中にある大きな集成材工場を見学した時、扱っている木材の殆どが輸入材であることに衝撃を受けました。2004年に完成した所沢市民体育館は、コンペ時に木造の体育館を提案していたので特定後は地元の秩父材の利用を進めましたが、この時も民間所有の山林を利用することは、コストの点から難しいということで、県有林を使用することになります。コストをかけて伐採しても、市場価格が安く、次の苗木を植えるコストも出ないという、これも衝撃的な話となりました。

その後政府も国産材の使用促進のため補助金も出し、近年の環境への意識の高まりと、法令整備、木材利用の建築技術の変遷にともない徐々に国産材利用が増えています。私は国産材利用は一種の環境税ととらえ、公共性の高い建物には積極的に施主に利用を働きかけています。所沢市民体育館の後は、長野駅善光寺口や今回の池上駅に繋がることとなりますが、両者共木造ではなく、ルーバーや仕上げ材として利用しています。大規模建築では法令上の問題もあり、木造建築とするには、大変な時間とコストがかかるため、まずは国産材を利用することを優先させています。今後国内林業をビジネスとして成立させるためには、環境税としての観点で国民の意識を高めていく必要があると考えています。

集成材を使わず五寸角の製材を組み合わせて67mのスパンをとばした所沢市民体育館
唐松の集成材で覆った列柱と、140mの木ルーバーのキャノピーの長野駅善光寺口

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