星のやとアマン

先日中国のクライアントが来日し、軽井沢の星のやと丸の内のアマン東京に宿泊した関係で、二つのホテルを体験する機会がありました。

軽井沢の星のやは、建築、ランドスケープ、照明ともにデザイナーは知人ですが、見学会に参加して以来、初めての宿泊となりました。

周知のようにレセプションはホテルとは離れたところに設け、黒の日産キューブに乗り換えて林の中を抜けてホテルの客室に移動。この手法はプーケットやバリで一般的な手法ですが、軽井沢の場合、チェックイン時以外の移動は公道を走る点で、少し興ざめでした。しかし、水の静と動を生かしたランドスケープは素晴らしく、客室の数がもう少し少なければ集落というコンセプトが更に生きたように思います。

緑と水と光があふれるレセプション廻り

緑と水と光があふれるレセプション廻り

私も以前10棟のヴィラが点在する24室のホテルの設計の経験があります。しかしながら、実施設計が完了し、確認申請もおりた段階でリーマンショックが起き、着工出来なかった苦い思い出があり、日本におけるヴィラ形式のホテルがどのように展開されていくのか大変興味があります。

星のやに宿泊し、やはりアマンを意識せざるを得ませんでした。私がアマンの手法に感心するのは、アメリカのホテルチェーンのように、自国のホテル文化を押し付けない点です。確かに、世界のどこに行っても同じような空間とサービスは安心感がありますが、ホテルと地域は隔絶されています。バリのアマンダリを訪れた時、近所の子供達が民族楽器の練習をしていて、建築はまさにバリ様式そのもの。この場所が最高級のホテルであることを一瞬忘れるほど、地域と繋がっていたことに感銘を受けました。それは空間やサービスを売るということだけではなく、「体験を売る」という基本姿勢が、必然的に地域とホテルが繋がることになっているのではないかと想像します。

建築のデザインについても、場面が展開していくシークエンスの作り方にいたく感心したのですが、デザインが前面に出ることはなく、利用者がくつろげるよう周到に計算されていることに気付かされます。「どうですか、私がデザインしたこの空間は素晴らしいでしょう!」というデザイナーの押し付けがましさが無いのです。自然と受け入れられる素晴らしい空間を体験することができます。

アマン東京は、アマンが実践してきたそんな世界各地のリゾート地にあるホテルではなく、初めての都市型ホテルのフラッグシップとして位置付けされているようです。

シャトルエレベーターでレセプションのある33階に上がると、暗めのモノトーンの石と白木(私には伊勢神宮の白木をイメージさせました。)で、見上げれば吹抜けの壁面は和紙の柔らかな光が包みます。一瞬にして日本文化のエッセンスを現代的に表現されていることに気付きます。

縁側と称するラウンジをカフェを区切る通路

縁側と称するラウンジとカフェを区切る通路

客室も白木をメインに使ったとても落ち着く空間でした。

客室は白木と障子で空間を構成

客室は白木と障子で空間を構成

奇しくも、同じ大手町に星のや東京が建設中です。部屋数は同じ84室のようです。日本ブランドとして世界戦略を図る星のやが、どのような都市型ホテルをつくるのか興味がつきません。

東泰規