2019年01月22日

完成間際の北京南法信プロジェクト

4年前から始まった北京の南法信プロジェクトの外装がほぼ完成したので見てきました。
敷地は北京国際空港の滑走路の真北に位置し、上空を低空で頻繁に飛行機が行き来する場所にあります。当初は1万㎡のオフィスを10棟、地下には商業施設と駐車場という条件で、新しいコミュニティを形成するワークスペースを作る提案をして、それが評価されて仕事を獲得したのですが、役所との協議が進むにつれ(中国では役所との交渉は全てクライアントが行う)、10棟が4棟になり、更にこのエリアはオフィスを作ってはいけないという事になりました。混迷を深め当社のコンセプトも消滅、最終的には4棟ともIDC(コンピューターのデータセンター)になり、我々は外装のデザインに集中することになりました。
近年の中国では、お金と時間があればかなりのクオリティを実現できるようになっていますが、今回は事業が混迷していたので、コスト抑制の要望が強く、最終的には1つのシステムで外装をまとめています。
アルミスパンドレル、アルミボーダーとガラスの三要素だけで、織物のようなパターンでファサードを構成しています。中国ではサッシュメーカーというよりは外装全般を請負う会社が、いろんなメーカーの形材をアッセンブルして施工図を提案してきます。日本では考えられないような高度な収まりを提案してくる一方で、寸法は現場で調整していくようなところもあり、当惑しながらも違いを楽しんでいました。やはり、日本の建築のクオリティはゼネコンの力と職人の精緻な能力に依ることを改めて認識しました。
完成しつつある建物は、少し離れて見れば収まりの粗さは気にならず、デザインの意図通りに太陽の角度により色んな表情を見せてくれます。
弊社のような小さな事務所がこのような大きなプロジェクトを任されるのも、中国ならではです。最終的には4棟全て売却できて、事業的には大成功だったようです。


正面ファサード
PM2.5のせいで空気が少し黄色味を帯びている

目指したのはアルミとガラスで構成する織物。太陽の光を反射して狙い通りのファサードに。階数がわからないガラス窓の配置。

アルミスパンドレルは最後までアルマイトを主張するも、中国では品質が確保できないということで、焼き付けに。
4棟に囲われた中庭の食堂棟同じ素材、システムながら、中庭側は白で統一。
メインアプローチメインアプローチ見上げ


当初の計画案。10棟を一つの建物に見せる皮膜的外装。この外装は最後まで生きることに。

新しいワークスペースを提案。オフィス棟で囲まれた中庭はアトリウムとして地下まで一体的に商業施設を配置。

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