賑わいづくりの天才

昨日恒例の築地市場においてマグロの初競りがあり、今年もすしざんまいを運営する喜代村が451万円で落札し、あらゆるメディアで取り上げられました。2年前の1億5540万円からするとずいぶん落ち着いた金額となりましたが、この2年前の初競りが海外メディアが取り上げるきっかけとなり、今や世界に発信する日本の新春のイベントとなった感があります。昨年日本への来訪者がようやく1300万人を超えましたが、築地に行くと外国人の多さに驚きますし、築地の存在がかなり貢献しているのようにも思います。

喜代村が築地場外にすしざんまいを出店したのが2001年です。当時築地を訪れる人が減少するなかで、いきなり年中無休、24時間営業の店を出店したのですから、この発想に驚きます。しかも、いまや築地場外だけで9店舗もすしざんまいがあります。同じ店舗が軒を並べるという発想も一般人の常識を覆すもので、喜代村の木村社長は賑わいづくりの天才と言えるかもしれません。

木村社長と案を練った豊洲新市場に隣接して計画される千客万来施設が、昨年東京都の事業公募で採用され、豊洲の賑わいづくりの為に様々な検討を進めています。豊洲は築地とは対照的に、人工的に計画された近代的な市場であり、築地場外のようなカオス的な魅力が無いから絶対失敗する、と指摘する方もいます。確かに普通に考えればあの単調で巨大で雑駁な街に、築地場外の賑わいを創り出すのは極めて難しいでしょう。しかし、木村社長の発想は、商品を媒介とした売る人、買う人の丁々発止が市場本来の魅力であり、これが生まれるような店づくりをして行けば、必ず人が集まってくるという点にあります。大型スーパーなどで失われてしまった商売の原点が市場にあるということです。

まだまだ、実現には多くの壁が立ちはだかりますが、日本から世界に食の魅力、市場の魅力を発信する日本の新たらしい賑わい施設として、なんとしても実現させたいと考えています。

 東泰規